或る暑い夏 (僕の眼っていた土地がTというかって経験 したことのない暑さに異常をきたし 人は水を求めて自らを見失ったとき) 僕はその暑さによって甦った
Tという暑さと人々と僕との出合い 彼らは汚水に群がり 移りゆく黒い塊 彼らの嬰児までその足下に敷いて 片時の満足を手に入れる 彼らの生命は彼らの内になく 今 彼らの生命は僕のこの掌の中にある 僕のやることは群の中の流血に着火すること
Tという暑さの中でのみの僕の生命 けだし 短いであろう時間が燃え尽きるまで 僕はアミーバ運動を行う
彼らは涼を求めて狼狽し 僕の熱い吐息に 逃げ惑う彼らの驚愕の顔 顔 嬰児は母の乳首を噛み切り 僕はその嬰児を食う その絶叫と紫外線との共鳴は僕の食欲に針を刺す 一つの偽装集団が その意識の中に僕の存在を確認したらしく ミニチュアの群が 気ぜわしく僕の周りで動き回る 踏み潰す前にその滑稽さが私から興味を取り去る 僕は或る生娘に白羽矢をたてる その母 (娘ではなくこの私を・・・)
××ist (おお すばらしい) 雷に撃たれた時のような冷ややかな嫌悪が脊髄に流れ その生娘に掌が延びる するとどうだろう
蟻のような群の中に炎が移ると その中に僕の視界が霞む それと逆行し 一つの光景が顕われる 一羽の鳥が血潮に濡れた塊を啄ばみ子に与えている これが僕のしている行為かも知れない だが夢の中での行為と同じく 現実感が伴わない
気温が次第に三次曲線上を下り始める 加速度的に・・・・・・・・・・・・
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