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  帰ることが許されていた時  〜変革No5より〜
  1967年 グループ変革に投稿 小波 淳(ペンネーム)

 

その時
ぼくには帰ることが許されていた
休むことが許されていた
そこは冬ともなれば屋根が隠れるほどの雪に埋もれるところだった
ぼくは いま そこにあるぼくを待つ小さなけれど暖かい保護に向かっていた
そこでは凍付く寒さの中でも ぼくは約束されていた

そこは女が持つあのよどんだ温(ぬくもり)でぼくを包むかもしれない
そこでは安堵(やすらぎ)と虚脱がぼくを癒すかもしれない
ぼくはそのあまりの歓待に戸惑うかもしれない
けれど それはそんなぼくにはおかまいなしにぼくをもて遊ぶだろう


ぼくは考えなければならないような気がした
そこがほんとうにぼくの帰るべきところかを
じじつ そこは居心地のよいことは確だった
そして 居心地のよさがぼくの思考を鈍らせることも確だった
けれど その確さがかえってぼくの心を不安にし
ぼくは考えなければならなかった

軒に下がる鋭いつららが何であり
暖かくもえさかる炎が何であり
あの温が何であり
そこにいるぼくが許されているかを

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