右の手には家の温かみを 左の肩にはわたしの思想をたずさえ わたしの体は右に傾き左に傾く 疲れた足どりで歩むわたしは どこで倒れるのか
わたしはすでに傷ついている 暗くなまぬるい迷路への旅立ちを あなたはそらぞらしい他人のことばで止めようとした わたしはあなたに何ものぞみやしない わたしの痛む傷口を開くのはやめてもらいたい あなたにやられるくらいならわたしがやる できることなら こんな傷はあなたのまえに捨てて ゆきたい けれども それはわたしにあたえられた枷かもしれない
白くさえわたる雪道で 長くよこたわるわたしの影は 青白くひかる無数の星の反射にくらむ そして 黙して歩む午前四時の思考は いま はてしないサイクルに足をふみいれた
家の温かみとわたしの思想はいま わたしの内で対立する けれど わたしがこのふたつのもちものを たがいに包含し合うものとしてとらえたとき わたしは倒れずにすむのかもしれない
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